大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

千葉地方裁判所 平成2年(わ)1041号 判決

本店所在地

千葉市新港二二六番地の一六

田村冷熱工業株式会社

(右代表者代表取締役 田村行雄)

本籍

千葉市幕張町二丁目二四六〇番地

住居

同右

会社役員

田村行雄

昭和二二年六月二八日生

右の者らに対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官富岡淳出席の上審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人田村冷熱工業株式会社を罰金二〇〇〇万円に、被告人田村行雄を判示第一及び第二の罪について懲役六月に、判示第三の罪について懲役八月に処する。

被告人田村行雄に対し、この裁判確定の日から四年間右各刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人田村冷熱工業株式会社(以下「被告会社」という)は千葉市新港二二六番地の一六に本店を置き、冷暖房設備工事業等を営むもの、被告人田村行雄(以下「被告人」という)は、被告会社の代表取締役としてその業務全般を統括しているものであるが、被告人は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、売上の一部を除外し、外注費を架空計上するなどして簿外預金を蓄積するなどの方法により所得を秘匿した上、

第一  昭和六〇年五月一日から同六一年四月三〇日までの事業年度における被告会社の実際所得額が一六八六万九四七五円であつたのにかかわらず、同年六月二七日、同市新宿二丁目六番一号所在の所轄千葉東税務署において、同税務署長に対し、その所得額が三二五万一三三円でこれに対する法人税額が三二万一〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて、不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額五六三万二六〇〇円と右申告税額との差額五三一万二五〇〇円を免れ、

第二  昭和六一年五月一日から同六二年四月三〇日までの事業年度における被告会社の実際所得額が五八五一万九二九〇円であつたのにかかわらず、同年六月二六日、右千葉東税務署において、同税務署長に対し、その所得額が九一五万七一五八円でこれに対する法人税額が二一七万七〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて、不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額二二九〇万二八〇〇円と右申告税額との差額二〇七三万二一〇〇円を免れ、

第三  昭和六二年五月一日から同六三年四月三〇日までの事業年度における被告会社の実際所得額が一億五四六二万四円であつたのにかかわらず、同年六月二八日、右千葉東税務署において、同税務署長に対し、その所得額が八四八万八六一八円でこれに対する法人税額が二〇四万八七〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて、不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額六三四二万四一〇〇円と右申告税額との差額六一三七万五四〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示事実全部について

一  被告会社代表者兼被告人の当公判廷における供述

一  被告人の検察官に対する供述調書八通

一  山口克也(二通)、茨木良一、田村三男(二通)、大割宏、塚本政道、安田隆(二通)の検察官に対する各供述調書

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書説明資料、売上調査書、仕入調査書、外注費調査書、期首棚卸高調査書、期首仕掛品調査書、期末仕掛品調査書、福利厚生費調査書、交際接待費調査書、交際費の損金不算入額調査書、交通費調査書、通信費調査書、減価償却超過額調査書、受取利息調査書及び事業税認定損調査書

一  検察事務官作成の電話聴取書

一  千葉地方法務局登記官作成の登記簿謄本三通

判示第一の事実について

一  押収してある昭和六一年四月期の確定申告書(平成二年押第二二五号の1)

判示第二の事実について

一  田村政一の検察官に対する供述調書

一  押収してある昭和六二年四月期の確定申告書(平成二年押第二二五号の2)

判示第三の事実について

一  押収してある昭和六三年四月期の確定申告書(平成二年押第二二五号の3)

(確定判決)

被告人は、昭和六二年七月六日千葉地方裁判所において、道路交通法違反・有印私文書偽造・同行使の各罪により懲役一年(三年間執行猶予)に処せられ、右裁判は同年七月二一日確定したものであつて、この事実は検察事務官作成の前科調書によつて認める。

(法令の適用)

被告人及び被告会社の判示各所為は、各事業年度ごとに法人税法一五九条一項(被告会社については、さらに同法一六四条一項)に該当するが、被告会社については情状により同法一五九条二項を適用し、被告人については所定刑中懲役刑を選択し、被告人の判示第一、第二の各罪と前記確定裁判のあつた各罪とは刑法四五条後段の併合罪であるから、同法五〇条によりまだ裁判を経ていない判示第一、第二の各罪について更に処断することとし、右の各罪は同法四五条前段の併合罪であるから、同法四七条本文、一〇条により犯情の重い判示第二の罪の刑に法定の加重した刑期の範囲内で、判示第三の罪についてはその所定刑期の範囲内で、被告人を判示第一及び第二の罪について懲役六月に、判示第三の罪について懲役八月に処し、情状により同法二五条一項を適用してこの裁判確定の日から四年間右各刑の執行を猶予することとし、被告会社の判示第一ないし第三の罪は同法四五条前段の併合罪であるから、同法四八条二項により合算した金額の範囲内で、被告会社を罰金二〇〇〇万円に処することとする。

よつて主文のとおり判決する。

(裁判官 土屋哲夫)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例